定年退職
本当に本当にとてもお世話になった先生が、
定年退職されると知った。
学校へ行けばお会いできるものだと勝手に思っていたので、
すごくさみしい。
さみしいので、何と言葉にしていいかわからず
花束や電報をお送りしたほうがよいか逡巡していたら、
定年退職は「おめでとうございます」が相応しいらしいと知る。
今の自分が仮に定年するまで働くと考えると、
確かにめでたい。仕事をやりきった証なのかもしれない。
昨年、作品集を作った。
自分にしては思いの外うまくできたので先生のご迷惑にならないことを願いつつお送りしたら
お忙しい時期にもかかわらず、
お便りを下さった。
学生時代は生意気だけが取り柄だった自分を受け入れて下さった先生の言葉の、
文字の端々から優しさと静かな情熱さえ届けてくださるようなメッセージは
何度も読み返し、何度も涙した。
宝物だ。
先生に、観てくださる人に伝わる作品を作り続けようという決意めいたものが
己の胸に湧き上がる。